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便秘や下痢などの便通異常は腸内細菌のSOS

便秘・下痢は腸内環境の悪化が原因

便秘と下痢の女性

食べて、消化して、吸収して、出す。

 

人間の一生は、その繰り返しのようなものです。

 

腸と腸内細菌はその作業工程のほとんどを引き受けて日々働き続けています。

 

そして、この「食べて、消化して、吸収して、出す」という日々の流れを崩さないことが、健康を保ち続けるためのもっとも大切なガギとなるのです。

 

みなさんはこの一連の流れが毎日スムーズにいっていますか?

 

何日も便秘になっていたり、しょっちゅう下痢に悩まされたりなんてことはありませんか?

 

便秘や下痢は、腸内細菌のSOSのサインのようなものなので、決して軽く見てはいけません。

 

そもそも、便秘や下痢などの便通異常は、食事の乱れや生活習慣の乱れ、ストレスなどが引き金となって腸内環境が悪化することで起こります。

 

たとえば、精神的ストレスを感じると、交感神経が緊張して腸の動きが悪くなります。

 

すると、善玉菌が減って悪玉菌が増えてくるようになり、腸内細菌の働きが全体に落ちて、便をつくる機能が低下してくるのです。

 

これによって引き起こされるのが便秘や下痢などの便通異常。

 

この際、女性の場合は便秘になりやすくなり、男性の場合は下痢になりやすくなります。

便秘と下痢により腸内フローラは乱れる

女性ホルモンには便を固める作用があり、男性ホルモンには便をゆるくする作用があります。

 

これにより、女性は便がカチカチに固まってつまりやすくなり、男性は便がゆるくなって下りやすくなるのです。

 

要するに、便の状態は正反対に分かれますが、便秘も下痢も異常を起こすもともとの原因は一緒のようなものなのですね。

 

そして、こうした便秘や下痢などの便通異常が何日も続くと、善玉菌がどんどん少なくなってしまい、腸内フローラは乱れてしまいます。

 

具体的に説明しましょう。

 

便秘の場合、出るはずの便が出ないということは、腸の内部に蓄積しているということ。

 

便秘の人の腸内では、水分が抜けて小さく固まった便がたまっています。

 

その成分は、ほぼ半分が腸内細菌の死骸で、しかも、その死骸の山から腐敗物質があふれ出してくるのです。

 

もし、腸内がそんな劣悪な環境だったら、腸内細菌はとても働くどころではなくなってしまいますよね。

 

あたりには腐敗物が充満していて、作業員である細菌たちはほとんど窒息寸前のような状況でしょう。

 

当然ながら、腸内の多くの機能は滞ってしまうことになります。

 

こういう状態が続くと、腸内細菌の数が減る一方となり、さらに環境が悪化して、どんどん悪循環にハマッていってしまいます。

便秘や下痢は体調不良を引き起こす

便秘や下痢による腸内環境の悪化は、体の不調につながっていきます。

 

腸内環境が悪化すると、ビタミンやホルモンをつくる機能も低下することになります。

 

ビタミンB群やビタミンCなどが不足すれば、肌が荒れたり、疲れがたまったり、口内炎ができたりといった不調が現れるようになります。

 

また、腸内にたまった腐敗物の毒素は、腸から吸収されて血液中に入り、血流に乗って体のあちこちにばら撒かれます。

 

こうした腐敗毒素が各臓器に入ると、内臓の機能が低下して病気を引き起こすような事態へとつながっていきます。

 

このように、便秘が続くと、健康を生み出すはずの腸が不調をばら撒く工場のようになってしまうのです。

 

汚れた腸を放っているのは、体がどんどん汚染されていくのを放っているようなもの。

 

いかに便秘が体に悪いか、おわかりいただけだでしょうか。

 

なお、下痢の場合も、腸内細菌がろくに働けないような環境となるのは変わりありません。

 

下痢というのは、腸内細菌が働く暇も与えられずに流されてしまっているような状況なのです。

 

生まれて間もない腸内細菌たちが流されてしまっているとすれば、腸内細菌の数も減っていくばかり。

 

便秘の場合と同じように、腸内細菌の数が減るに従い、腸内フローラの生産性は落ちていきます。

 

消化も、吸収も、ビタミンをつくったり、ホルモンをつくったりする作業が中途半端で放り出されてしまう格好になってしまいます。

 

ですから、下痢ばかりしていると、食べ物から十分な栄養やエネルギーを得ることができなくなって、どんどん体力が失われていってしまうのです。

下痢や便秘は体力を奪い免疫力を低下させる

おそらく、便秘や下痢でお悩みの方は少なくないと思います。

 

わたしたちの腸内細菌の数は、頻繁に増えたり減ったりしていて、お腹の調子を壊しただけで10分の1くらいに減ってしまうこともあります。

 

何日も便秘や下痢が続こうものなら、当然10分の1どころでは済まないでしょう。

 

腸内細菌の数が減ると、同時に免疫力も落ちて、さまざまな病気にかかりやすくなります。

 

ですから、慢性的に便秘や下痢に悩まされている人は、それだけ他の病気にも悩まされやすくなるのです。

 

繰り返しになりますが、便秘や下痢は腸内細菌たちからのSOSのサインです。

 

つまったり下ったりするのは、さまざまな面で「健康が危機にさらされていますよ」というサインなのです。

 

決して甘く見て放っていてはいけません。