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人間は無菌でも生きていける?無菌のほうが長生きする?

人間は細菌なしで生きることはできない

人間にとって、腸内細菌は絶対になければならないものなのでしょうか。

 

結論から言いますと、彼ら腸内細菌の助けがなくては、わたしたち人間は生きていくことはできません。

 

私たちは生きているかぎり、つねに様々な菌たちとふれあい、共生していくことが求められます。腸内に善玉菌と悪玉菌が存在するように、自分たちにとって有害な菌を遠ざけ、有用な菌とうまくつきあっていくことが健康に生きる基本と言えるわけです。

 

では、こうした菌が全くいなくなってしまったら宿主である動物はどうなってしまうのでしょうか?

 

現実的には考えられない話ですが、こうした無菌動物に関する研究は古くから続けられてきました。近代細菌学の祖であるパスツールは「動物は菌なしでは生きられない」と考えていたようですが、1894年、これに疑問を持ったヌッタルとティールフェルダーがモルモットの無菌飼育に取りかかり、短期間ですが成功させました。

 

その後、同様の実験が次々と行われ、1945年にはアメリカのレイニヤスが無菌シロネズミの二世を誕生させることに成功。動物は無菌でも生存できるどころか、繁殖することも確認できたのです。

 

1960年代には、無菌動物といって、体にまったく細菌がいない動物が実験室で生まれました。そして、この無菌動物と菌のいる動物のどちらが長生きするかを比べたところ、なんと無菌動物のほうが1.5倍長生きしたのです。ということは、人間も無菌なら80歳まで生きるところを120歳まで生きられるということでしょうか。実はそうではありません。

無菌だと免疫機能が備わらない

これは、無菌状態での寿命の話し。無菌状態で育った生き物は、免疫機能が備わっていないため、抵抗力がありません。無菌のまま実験室から出たら、すぐにウイルスや細菌に感染し、命に危険が及ぶでしょう。また、腸内細菌がいないため、血液を凝固させるビタミンkが産生されず、小さなケガでも出血が止まらなくなってしまいます。

 

細菌は、人間に良い影響を与えれば、悪い影響も与えます。細菌と関わらずには生きていけない以上、どのように付き合っていくかが重要になります。

 

今日では、ビニールアイソレーターという無菌飼育装置が開発されたことで、無菌動物を容易に大量繁殖させられるようになりました。こうした無菌動物を育てることで菌の動物への影響が調べられるほか、様々な実験に役立てられています。ただ、これはあくまで人工的な環境下での話で、通常の環境下では菌との共生なしに生きることはできないのです。

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