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股関節形成不全について

股関節形成不全について教えてください

股関節形成不全とは

正常な股関節は、骨盤の寛骨臼と大腿骨頭がしっかり連結する臼状関節です。しかし、股関節形成不全では、この連結が次第にゆるむために、関節の変異や亜脱臼を引き起こす結果、関節炎や関節の形成異常が生じます。

 

股関節形成不全は、大型犬に発生が認められる一般的な骨の病気ですが、近年の大型犬フーム、特にラブラドールレトリバーやゴールデンレトリバーの人気によって、特に注目されるようになりました。

 

※亜脱臼とは
相対する関節面がずれて、正常な位置関係にないが、一部接触を保っている状態。

 

飼い主が股関節の異常に気づくのは、通常、生後4ヶ月~1歳程度(体重25~45kgほど)からです。

 

両側股関節の痛みによる活動の低下、後肢の跛行(正常に歩けない状態)や小幅な歩行、階段の上り下りや跳んだり走ったりすることを嫌う、両後肢を動じに運ぶ「うさぎ跳び」、腰を左右に振って歩行する「モンローウォーク」などが認められます。

 

1歳以下では、関節炎まで移行せずに、関節の弛緩のみが認められることが多いようですが、1歳を過ぎると、関節炎や関節の変性が認められるようになります。

 

股関節形成不全がみられやすい、主な犬種としては、ゴールデンレトリバー、ラブラドールレトリバー、ボクサー、ブルドッグ、ドーベルマン、ジャーマンシェパード、シベリアンハスキーなどが挙げられます。

股関節形成不全の原因

股関節形成不全は遺伝によるものであると確認されていますが、その発症時期や症状の程度は、栄養の過剰摂取、エストロゲン代謝の不均衡、運動といった、さまざまな要因によって大きく影響されます。

 

特に、骨格の急成長を招く高カロリー食の過剰摂取は、股関節形成不全の発生率を高め、症状を悪化させるといわれています。また、成長期における過剰な運動も、未成熟な関節に大きな負担をかけるために、発症を早めて症状を悪化させます。

 

※エストロゲンとは
卵巣にある卵胞から分泌されるため、卵胞ホルモンとも呼ばれる。発情期のときにみられる、さまざまな徴候をコントロールする。

股関節形成不全の治療

股関節形成不全は症状などに応じて、鎮痛薬、抗炎症薬などを用いた内科的療法(薬物による治療)と、手術による外科的療法(手術による治療)を行いますが、内科的療法では根本的な問題の解決にはなりません。

 

不幸にして股関節形成不全の症状が現れた場合には、過度の運動を避け、体重増加を抑えるようにします。関節の固定化を防ぐためには、水泳や関節のマッサージが推奨されています。

 

股関節形成不全は遺伝性の病気であることが証明されているため、この疾患を有する犬を繁殖に用いてはいけません。股関節形成不全が発見された時点で、避妊手術を行うことが望ましいといえるでしょう。

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