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猫の糖尿病について教えてください

猫の糖尿病とは

猫の内分泌系の病気で最も多いのが糖尿病です。
猫は、犬と比較して糖尿病になりやすい傾向がありますが、犬の糖尿病とはタイプが違います。Ⅰ型糖尿病が多い犬に対し、猫の場合は人と同じインスリン作用不足のⅡ型糖尿病が多いのが特徴です。猫の場合は一時的な糖尿病状態から回復する例も多々あるので、糖尿病と診断されても悲観しないで、担当の獣医師とよく話し合ってください。

猫の糖尿病の特徴

糖尿病に罹る猫の多くが9歳を超える高齢猫ですが、それよりずっと若齢で発症することもあります。去勢した雄での発症が多いとも言われています。猫の糖尿病は犬や人の糖尿病に比べ、複雑な病状であることが多いため、治療は一筋縄ではいかないことが多いです。これは猫の代謝が人や犬と違い、糖質をエネルギー代謝の中心においていないためと考えられています。つまり、猫は糖の利用効率が悪いため、高血糖状態になりやすく、容易に糖尿病のような状態になると考えられています。このため、他の動物に比べ高血糖状態が生理的なものなのか病的なものなのかの判断がつけづらく、診断・治療が困難になります。

糖尿病の発症原因として、肥満・長期にわたるストレス、膵炎、内分泌疾患、高脂血症、遺伝的要因、自己免疫疾患など数多く挙げられますが、決定的な要因は解明されていません。いくつかの要因が複合して発症するようですが、遺伝的な要因と環境要因が大きく関与していると考えられています。

糖尿病性ニューロパシーとは

猫で多く見られる糖尿病の合併症に、糖尿病性ニューロパシーと呼ばれる状態があります。神経細胞のタンパク質部分に糖が反応して、正規の神経細胞の機能が損なわれた状態を指すのですが、猫の場合、下半身の麻痺などの重度な症状として現れます。典型的な猫の糖尿病ニューロパシーの症状として、かかとを地面につける独特の歩き方があります。

猫の糖尿病治療

基本的に猫の糖尿病治療にはインスリン治療を軸に行います。人の場合、インスリン治療を行うのはごく一部の重症な患者だけですが、猫の場合は糖尿病と判断された時点でインスリン療法が必要な重症であることがほとんどだからです。糖尿病性ケトアシドーシスのように重篤な症状が出ていない場合は、血糖値のコントロール方法を模索することになります。まず、食餌の内容と量を決定します。糖尿病の猫用療法食は、高繊維・低エネルギータイプのものが主流ですが、低糖質・高タンパク質のインスリン節約型(低インスリンダイエット)のフードも使われるようになってきています。猫の糖尿病の場合、ストレス等から、一時的な糖尿病状態に陥ってしまうことがあります。この場合にもインスリン治療が必要とする場合がほとんどですが、ストレス状態から脱して血糖値が安定してくるとインスリン治療が不要になるほど回復する例もありますので、日々の管理に力を入れてください。

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