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猫風邪について教えてください

猫風邪とは

猫風邪とは、人間の風邪に似た症状を引き起こす病気のことです。猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症、クラミジア感染症の3つの病気をまとめて「猫風邪」と呼んでいますが、猫風邪のほとんどが猫ウイルス性鼻気管炎(ヘルペス感染症)です。

猫ウイルス性鼻気管炎(FVR)とは

猫ウイルス性鼻気管炎(FVR)は、猫風邪と呼ばれる代表的な病気で、伝染性の結膜炎や上部気道炎を起こします。特に子猫が感染すると、症状が悪化しやすく、結膜炎から結膜の癒着を起こし、視力を失うこともあります。原因は猫ヘルペスウイルス1型(FeHV-1)。ヘルペスウイルスが完全に排除されることは少なく、体調が良くなると神経内に潜み、体調不良となり免疫力が低下すると神経より出現して症状が再発します。このように一度感染すると生涯にあたり再発を繰り返す場合があります。悪化させると、肺炎や膿胸(肺の周囲に膿が溜まる病態)となり死亡することもあります。

猫ヘルペスウイルス1型(FeHV-1)とは

FeHV-1は「Feline Herpes Virus Type1」の略。猫ヘルペスウイルス1型(FeHV-1)は、一度感染すると体内から排除することが難しいです。これはヘルペスウイルスが神経内に潜む性質からで、ヒトのヘルペスウイルス(帯状疱疹など)も体調不良など免疫力が低下すると、口の周りや皮膚のどに病変部が出現するのと同様です。感染前に有効なワクチン接種を済ませておくと、感染が防御されます。感染後のワクチン接種は、FeHV-1を完全に排除させる力はありませんが、その抗体価を上昇させ、神経からの出現を抑え悪化を防いでくれます。多頭飼育下に一度侵入すると、完全排除が難しく、一部の感染した猫が再発すると、集団感染を起こすことがあります。

猫風邪の感染原因

猫風邪は感染猫との接触感染とくしゃみなどの飛沫感染で感染します。猫ヘルペスウイルス1型は一度感染すると神経節に侵入し、持続感染します。多頭飼育、環境の変化、分娩などのストレス、免疫抑制剤の使用により、免疫機能が低下すると間欠的にウイルスを排泄し、感染の原因となります。

猫ウイルス性鼻気管炎の症状

潜伏期は2~10日。感染初期は発熱、元気消失、食欲不振、目ヤニを伴う結膜炎から始まり、くしゃみや咳が出ます。鼻汁や膿性鼻汁で鼻周辺の汚れが目立ちます。二次感染が進行すると、重篤な気管支肺炎、副鼻腔炎となります。子猫で死亡率が高くなります。

猫ウイルス性鼻気管炎の治療

嗅覚が低下し、食欲不振であれば、強制的に給餌し体力を温存するようにします。症状により点滴、点眼、点鼻、二次感染を防ぐ目的で抗生物質などを使用します。感染前ならワクチン接種が有効で、一般的な消毒剤で死滅します。

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