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白内障について

白内障について教えてください

白内障とは、眼球の水晶体が白く濁って見えにくくなる病気です。

発生時の年齢別に、先天性白内障、1~6歳未満で発生する若年性白内障、6歳以上で発生する老年性白内障の3つに分類されます。あるいは、水晶体が白く濁る部位によって、前嚢下白内障、後嚢下白内障、皮質白内障、核白内障などに分類されます。

視力は発症当初は正常ですが、水晶体が濁るのにつれて徐々に低下します。緑内障を併発することもあります。白い濁りは初期には片眼のみですが、最終的には両眼に進行します。一般的に、後嚢下白内障では著しい視力の低下は少ないようです。

ゴールデンレトリバーでは、特に遺伝性の皮質白内障や後嚢下白内障が多くみられます。後嚢下白内障では、後嚢下に三角形や逆Y字状の白濁が認められます。また、皮質白内障では、皮質と核が進行性に混濁していきます。

水晶体とは

水晶体は虹彩の後にあります。前方と比較して、後方はやや突出した形をした透明な両凸レンズです。主に水分とタンパク質から形成されていて、血管と神経は通っていません。水晶体は、一見穏やかな組織のように見えますが、その内部では活発に物質代謝が行われています。水晶体への栄養は眼房水と硝子体から供給され、老廃物もまたそれらに排出されます。水晶体は、視覚のピントを調節する働きをしています。瞳孔から眼球内に入った可視光線は、水晶体で屈折して網膜に到達しますが、このとき水晶体は、その厚さを変えることによって網膜に到達する映像のピントを調節しています。

白内障の原因

眼球の水晶体は、主に水分とタンパク質から形成されています。本体、水晶体は透明ですが、遺伝的欠陥、加齢、外傷、栄養状態の悪化、糖尿病などによる代謝の異常によって、タンパク質の透明性を維持できなくなると、水晶体が白く濁って白内障を引き起こします。

遺伝性白内障は、多くの犬種では常染色体劣性遺伝によるものですが、ゴールデンレトリバーでは不完全表現型優性遺伝によるものです。

常染色体劣性遺伝とは

常染色体(性染色体以外の染色体)にある劣性遺伝子によって起こります。劣性遺伝とは、両親の両方から原因遺伝子を受け継いていれば、各々の遺伝子としての強さにかかわらず発病する遺伝のこと。ここでいう劣性とは「弱い」という意味です。

不完全表現型優性遺伝とは

優性遺伝とは、染色体の染色分体(1体2本から成る)において、片方にしかない遺伝子でも、必ずその性質が現れる遺伝。不完全表現型優性遺伝とは、これらに当てはまらない例外的な優性遺伝のこと。ここでいう優性とは「強い」という意味です。

白内障の治療方法

点眼薬を用いた、濁りの進行を抑えるための治療も行われます。しかし、手術によって犬用眼内レンズを挿入しなければ、これを完全に抑えることはできません。

なお、犬の場合、完全に失明していなければ日常生活に支障をきたすことは少ないとも考えられます。

遺伝性の白内障では、残念ながら予防法はありません。この遺伝を有する血統の犬を飼わないことが唯一の対処法です。

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