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犬の乳腺腫瘍について教えてください

犬の乳腺腫瘍とは

乳腺腫瘍の犬と獣医師

犬の乳腺は左右に10の乳房があり、リンパ管と血管が複雑に関与しています。

 

頭側の第1、2の乳腺は浅前腹壁動脈から尾側の第3~5の乳房は浅後腹壁動脈から栄養が供給され、それぞれのリンパ管の経路は複雑に連絡されています。

 

犬の乳腺腫瘍は雄にも発生することがありますが、そのほとんどは雌に発生します。

 

乳腺腫瘍の発生年齢は8歳頃から多く認められ、約50%が良性腫瘍で悪性腫瘍の乳腺ガンが40%で他に肉腫や炎症性乳ガンが認められています。

犬の乳腺腫瘍の原因

犬の乳腺腫瘍の原因は不明です。

 

主要原因は、環境の要因による遺伝子の変異や癌抑制遺伝子の関与によるものが大きいようです。

 

初回発情の前に避妊手術を行った犬の乳腺腫瘍の発生率は0.5%と極めて低く、2回目以降の避妊手術では26%と高い発生率であることから、ホルモンとの関連性が高いと考えられています。

犬の乳腺腫瘍の症状・診断

臨床的な特徴としては乳腺に”しこり”が確認されるので、飼い主さんにより比較的早期に発見されることが多いです。

 

しかし、早期に”しこり”が発見されても、そのまま放置しておくと腫瘍は徐々に増大して取り返しのつかない事態に陥ることがあります。

 

”しこり”は大小様々で、小児頭大まで増大しているものもみられます。

 

動物病院においては、”しこり”を触診しながら、遊離しているのか筋層に固着しているのかなどが調べられ、”しこり”の部分を針で吸引して、その細胞を病理学的に診断されます。

 

犬の乳腺腫瘍は主に上皮性腫瘍が多く、悪性腫瘍の腺癌は血管やリンパ管より肺などへ遠隔転移するため、胸部のX線が撮られることもあります。

犬の乳腺腫瘍の治療

犬の乳腺腫瘍における第一の選択肢は腫瘍の摘出になります。

 

摘出方法は全乳腺切除、片側乳腺切除、部分または単一切除を行います。

 

残された乳腺にまた新たに発生する可能性を考慮し、乳腺の全摘出手術を推奨する獣医師もいます。

 

摘出手術以外では、QOLを維持するためと再発予防による免疫療法や、一般的な免疫活性を促すサプリメントが推奨されます。

 

食事療法としては高タンパク低脂肪食を心がけ、動物性の脂肪やチーズなどは極力避けるべきです。

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