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アレルゲンが特定された後に行う除去食療法

アレルゲン除去食について教えてください

愛犬の食事の時間は、飼い主と愛犬のお互いにとって、楽しいひとときでありたいものです。

 

しかし、除去食療法の場合、犬の生活の質を向上させるために、食材についての我慢が必要になります。

 

除去食(維持食)は、あくまでも「病犬食」であり「食べる薬」であることを忘れないでください。

 

症状に改善がみられた後の除去食療法でも、適切なエネルギー量とバランスのとれた栄養素が必須になります。

除去食を手作りし続けることは容易ではない

ある程度アレルゲンが特定された後の除去食療法のための維持食としては、市販の処方食と手作りの除去食の利用とが考えられます。

 

米国獣医皮膚科学会の獣医師に対する調査では、食物アレルギーが疑われる犬に対して除去食を開始するにあたっては、飼い主の手作り食を推奨する獣医師が多いとされています。

 

しかし、そのような除去食には栄養バランスのとれていないものが多いこともよく知られています。

 

アレルゲンが特定された後、長期にわたって愛犬の健康状態を維持するための食事を手作りし続けることは容易ではありません。

市販の除去食が一番便利

一般的に、ある程度アレルゲンが特定され、もし愛犬の食事に適した市販の処方食が見つけ出せた場合には、市販の処方食を利用することをお勧めします。

 

獣医さんとも相談して、適切な維持食を選んでみてください。

 

もし、アレルゲンが特定されても、市販の処方食では充分な効果が得られない場合は、個々の犬の症状に則したオーダーメイドで、手作り除去食(維持食)を作成します。

 

確かに食物アレルギーの治療の基本は、原因となる食品の除去ですが、どの程度除去をするかも難しい問題です。

 

除去する食品の種類、除去の程度と方法、除去食(維持食)を与える期間については獣医師とよく相談して決めます。

市販の除去食を選ぶときの注意点

食物アレルゲンとは異なる新奇タンパク質(愛犬がこれまで口にしたことのないタンパク質)あるいは加水分解タンパクフードのいずれかを選択することになります。

 

原則としては加水分解物でも感作あるいは感作が疑われるタンパク質を成分に含まないフードを獣医師とともに選んでください。

未体験のタンパク質を与える

あらゆる食物がアレルゲンになり、国によりアレルゲンの種類は多様ですが、一般にタンパク質が重要であり、日本の犬では肉類(牛肉、豚肉、鶏肉)、乳類(乳および乳製品)、穀類(米、小麦)などがアレルギーの原因として重視されています。

 

除去食は、ある程度アレルゲンが特定された後に与える手作り除去食(維持食)も含め、これまで愛犬が口にしたことのないタンパク質で構成される食事を作ります。

除去食療法は根気が必要

食物がアレルゲンの場合、アレルゲンとなる食物に愛犬の体が慣れ、今まで食べられなかった食物が食べられるようになることもないわけではありませんが、多くの場合、かなり長期間(少なくとも1年間)あるいは、場合によっては生涯に渡って除去食を食べ続けることになります。

 

また、食物アレルギーの犬は体質的にアレルギーを起こしやすく、2、3年経過すると、これまでは問題がなかった別の新たな食材に対して食物アレルギーが起きることもあります。

 

したがって、体調を維持するための除去食(維持食)を家庭で調理する場合は、無理、ムラのない、理にかなった作業の繰り返しを、気長に根気強く行うことが重要となります。

手作り除去食は栄養バランスが崩れがち

また、家族のための食事を愛犬におすそ分けして調理するの結構ですが、家族が食べている食事に多少手を加えて、愛犬の除去食療法に利用することは栄養のバランスをとることの難しさと治療効果の点からお勧めしません。

 

なお、家庭で調理した食事を愛犬に与える場合には、偏った食事による栄養不良に陥らないよう、定期的に動物病院で検診を受けさせるとともに、かかりつけの獣医さんに手作りレシピの栄養バランスについて検討してもらかぞいましょう。

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