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犬や猫の腸内環境を整えると免疫力は高まるのですか?

犬や猫の免疫力向上のカギは腸内環境

腸内環境を説明する獣医師

免疫とは、ウィルスなどの外敵が体内に入ってこようとしたとき、それらの異物を排除して体を守ったり、細胞が突然変異でガン細胞になることを抑制したりするシステムのことを指します。

 

そのために働いているのが、簡単にいうと、マクロファージ、顆粒球、リンパ球などの「免疫細胞」や、インターフェロンなどの「免疫物質」です。

 

免疫細胞の約70%は腸内細菌が作り出していますので、腸内細菌を増やして腸内環境を整えることによって免疫力が向上し、アレルギーなどの免疫の暴走を食い止めることも可能になるでしょう。

小腸は免疫システムの中枢機関

免疫の主役は小腸にあるパイエル板

 

腸管の粘膜には、腸特有のリンパ組織(免疫機能を担うリンパ球が集まる部位)があり「腸関連リンパ組織(GALT)」と呼ばれ、その容積は腸の25%にも及びます。

 

この腸関連リンパ組織こそが腸管免疫系を担っているのですが、なかでも、免疫系の主役は大腸に近い小腸の一部である回腸にある「パイエル板」で、腸管免疫の中枢といえます。

 

「パイエル板」が毒素などの情報を収集し、免疫システムに指示を出しているのです。

 

「パイエル板」は絨毛の間に存在するリンパ小節が集合した形でできています。

 

パイエル板の入り口にはM細胞という組織があり、口から侵入した異物や病原菌が小腸に達すると、M細胞が免疫機能を発揮して動きだします。

 

M細胞はコレラ菌、赤痢菌、チフス菌などの病原菌をパイエル板の中に取り込むように働き、それを察知したパイエル板の中の免疫細胞が病原菌を攻撃するための抗体を作ります。

 

免疫機能が正常に働いていると、この段階で病原菌を無害化するので、病気になることを予防できるのです。

 

このように、腸の中にあるM細胞などの働きによって病原菌が退治されているわけですが、これらの免疫組織を活性化しているのが腸内細菌で、多くの種類の腸内細菌がまさに「束になって」闘い、外敵から身を守っているのです。

腸内環境が悪化すると免疫は低下する

もし、腸内細菌の数が減ったりバランスが崩れたりすると、腸内で腐敗して発生した毒素や発ガン性物資の排出が滞り、臓器にダメージを及ぼしたり、いろいろな病気の原因を作ってしまいます。

 

また、腸内環境が悪化してしまうと、パイエル板の機能が停滞してしまうため、免疫力が低下し病気に罹りやすい体質になってしまうのです。

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