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てんかんについて

てんかんについて教えてください

「てんかん」とは

てんかんとは、その原因にかかわらず、発作を繰り返す病的状態をいいます。発作の原因が特定できるものを症候性てんかんといい、原因が不明確で特定できないものを突発性てんかんといいます。

 

てんかんでは、動物の意志と関係なく、突然始まり突然終わる発作(てんかん発作)を繰り返します。これが30分以上継続する状態をてんかん重積といいます。発作と発作の間隔は一定ではありません。

 

てんかん発作が起こる数日間~数時間前に、不安、沈うつ、恐怖、食欲の高まりや減退、活動の亢進や減退などといった、何らかの行動変化がみられるとされていますが、不明なことも多いようです。

 

また、てんかん発作の直前に、眼や足の痙攣、流涎(よだれを流す)、失明、興奮などの異常行動がみられることもあるようです。

 

てんかん発作は、部分発作(焦点発作)と全身発作に大きく分けることができますが、犬のてんかんでは、多くの場合、全身性の痙攣発作が認められます。

 

通常、てんかん発作の終了後は、見当識障害(自分がおかれている状況が正しく認識できない状態)、筋力の低下、視力の低下、口渇(口中やのどの激しい乾き)、錯乱、不安などの状態が数分から数時間持続し、その後は、何事もなかったように元の状態に戻ることが多いようです。しかし、死などの悲劇的な結末を迎えることも少なくありません。

てんかんの原因

てんかんのメカニズムの詳細については不明ですが、大脳皮質(灰白質)の一部あるいは広範囲における興奮性神経伝達物質の増加、抑制性神経伝達物質の減少、神経細胞の物質代謝障害などによって、ニューロン(神経細胞)群が機能不全の状態に陥る結果、発作が起こるとされています。

 

てんかん発作が起こるきっかけには、さまざまな特殊音、閃光(瞬間的に発する光)、テレビ画面の光、薬物などの刺激が関連しているといわれていますが、これについても詳細は不明です。

 

原因が不明確で特定できない突発性てんかんのほとんどは、遺伝性である可能性が高いと言えます。

 

ビーグルでは、突発性てんかの多いことが証明されていますが、てんかんが好発するその他の犬種は、ジャーマンシェパード、アメリカンコッカースパニエル、ボーダーコリー、イングリッシュコッカースパニエル、ゴールデンレトリバー、アイリッシュセッター、ラブラドールレトリバー、プードル、シベリアンハスキーなどが挙げられます。

てんかん治療

てんかんの治療は、基本的には、フェノバルビタールなどのいわゆる抗てんかん薬で発作のコントロールを行います。それぞれの動物に合った薬物や投与量を選択し、その薬物を投与し続けることによって、飼い主さんと犬が許容できるレベルまで、発作の程度と回数を減らすようにします。

 

投与量を徐々に減らしていき、最終的には、薬物を使用しなくても発作が起きないようになることもあります。しかし、遺伝性のてんかんの場合、完全な治癒は期待できないと考えるべきでしょう。

てんか予防

ビーグルはてんかんの遺伝的因子が証明されている犬種ですが、ビーグルにみられるてんかんの原因すべてが、遺伝によるものであるとは限りません。しかし、遺伝性の要因が証明されている以上、てんかんを起こす可能性のある血統の犬を選ぶべきではないでしょう。

 

ビーグルは比較的よくみられる犬であるため、飼い主さんの多くは、その血統について気にとめることは少ないでしょう。しかし、ドッグショーの入賞歴などよりも、遺伝性のてんかんを発症しないという観点から、よい血統を選ぶ必要があるといえます。

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