一覧に戻る

尿路結石症(尿石症)について教えてください

尿路結石症(尿石症)とは

尿路結石症(尿石症)とは尿が作られてから排出されるまでの器官(腎臓、尿管、膀胱、尿道)のどこかに結晶または結石ができる病気のことです。尿中のミネラル成分が凝集されてつくられ、尿道閉鎖から尿毒症などを生じて死に至ることもある病気です。ミネラルの成分によって異なる尿路結石症がいくつかありますが、犬や猫の尿路結石症のほとんどがストルバイト尿路結石症とシュウ酸カルシウム尿路結石症です。犬のストルバイト尿路結石症の場合、感染性尿路結石症が大部分を占めます。感染性ストルバイト尿路結石症では、尿路感染症の治療と並行して食事療法を取り入れることになります。

尿路結石症は、特にその疾患のコントロールや予防、再発低減において食事管理が重要なカギとなります。このページでは尿路結石症(尿石症)についてやさしく解説します。

尿路結石症には水分が重要

すべての尿路結石症の食事管理に共通することは、水の摂取を促し尿の高濃度化を防ぐことです。水分摂取量を増やす工夫としては、食事を缶詰タイプに変更する方法やドライフードに水を加える方法などがあります。また、好みの水や好みの器を見つけてあげて水飲み場を何ヶ所かに設置してあげることも重要です。飲み水にチキンスープやカツオのだし汁を加えて香りをつけるなどして飲水の機会を増やしてあげるようにしましょう。清潔なトイレを用意してあげることも効果的です。

運動・活動の重要性

室内飼育の猫は、獲物を獲ったり敵から逃げたりするために身軽でいる必要性がないため、排尿を我慢して蓄尿傾向となり、尿路閉塞がないにもかかわらず、1日に1回、あるいは極端な例では、2日に1回ぐらいしか排尿しない場合があります。このことがいっそう尿路結石症の危険因子となります。猫の場合、室内飼育の場合でも身軽であるために運動をさせること(特にジャンプなど上下に動く運動)が大切です。また、室内で飼育されている犬や散歩の時まで排泄しない我慢強い犬では膀胱炎になりやすく、それが尿路結石症の要因となる場合もありますので、できる範囲内でまめに散歩させてあげることが大切です。散歩時間が短くても排泄のために外に連れ出すことに意味があります。

ストルバイト尿路結石症とは

猫の尿路結石症で最も多くみられるのがストルバイト尿路結石症です。ストルバイト尿路結石症は、およそ7歳以下の若齢猫で発症しやすく、細菌の尿路感染とは関連していないことが多いです。ストルバイトは、尿中のリン酸アンモニウムマグネシウムが過飽和の状態で、尿がアルカリ性(ph7<)のときに形成されます。犬の場合のストルバイト尿路結石症の原因はウレアーゼ産生菌による感染によることが多いのが特徴です。

ストルバイト尿路結石溶解用食

尿のphを5.9~6.1に維持される食事で、結晶成分となるリンやマグネシウムをそれぞれ、0.5~0.8%(乾物)、0.04~0.06%に低減した食事を与えます。また、タンパク質が30~45%(乾物)に制限されたものにします。
ストルバイト溶解用の療法食は、マグネシウムが低減されているため、成長期や妊娠授乳期の猫には与えないようにします。尿の高酸性化フードは、子猫の骨のミネラル化の阻害や成長遅延を生じます。また、ナトリウム(0.7~0.9%乾物)も多目に含まれているため、心疾患や腎疾患のある猫にも与えないよう注意が必要です。定期的に、尿検査を行い、結晶が溶解されるまで与えます。(およそ、2~3ヶ月)。1日平均尿phが7.0>で、結晶が認められなくなったら、ストルバイト尿路結石症予防食に切り替え、少なくとも半年ごとに尿検査をします。

ストルバイト尿路結石予防食

尿のphを6.2~6.4に維持する食事で、リンやマグネシウムが過剰に含まれていない食事(リン0.5~0.9%乾物、マグネシウム0.04~0.1%乾物)を選択します。タンパク質の過剰給与を避け、30~45%(乾物)程度含まれる食事にします。ストルバイト尿路結石溶解食や予防食を与えているときは、食事中の栄養素バランスや結晶生成成分のバランスが崩れるため、他の食べ物、おやつ、サプリメント等は中止します。また、フードメーカーごとに、原材料や配合割合についても違いがあるため、安易に同じ目的のフードだからといって、混合して与えないようにします。

シュウ酸カルシウム尿路結石症とは

尿中のカルシウムとシュウ酸が過飽和状態に達してできる結晶や結石によって起こる病気がシュウ酸カルシウム尿路結石症です。シュウ酸カルシウム尿路結石症では、形成された尿路結石を食事療法で溶解することは困難なため外科的手術が第一選択肢となります。シュウ酸カルシウム尿路結石症は再発率も高いため、予防と再発の防止が食事管理で重要となります。

シュウ酸カルシウム尿路結石予防食

猫では、高齢・肥満の個体で発症が多くなります。犬では、ミニチュア・シュナイザー、ヨークシャー・テリア、プードルなどで多発しやすいようです。カルシウムやシュウ酸を豊富に含む食事は、シュウ酸カルシウム尿路結石症の危険因子になります。また、シュウ酸カルシウムを含む食品の一方だけを制限すると、他方の吸収が促進される場合がありますので注意が必要です。シュウ酸カルシウム尿路結石症の既往歴のある猫では、市販の猫の下部尿路疾患(FLUTD)対応のマグネシウムを低減した食事は、シュウ酸カルシウム尿路結石形成の危険性を高めます。そのため、シュウ酸カルシウム尿路結石症では、尿の検査とともに食事歴の把握も重要となります。犬用のシュウ酸カルシウム尿路結石症用フードはタンパク質を制限しているため、タンパク質不足にならないように経過観察で注意します。

カルシウムを多く含む食品

イワシ、鮭、ブロッコリー、豆腐、乳製品、カルシウム強化されたパンなど。

シュウ酸を多く含む食品

ほうれん草、ブロッコリー、カボチャ、ナス、りんご、もも、いちごなどのベリー類、ピーナッツ、イワシなど。

その他の尿路結石症

犬の尿路結石症にはほかに尿酸塩尿路結石症(ダルメシアンに多く、遺伝的素因と関連していることもあります)、シスチン尿症(代謝異常と関連する場合もあります)などがあります。尿phをアルカリ(7.1~7.7)に維持する食事で、過剰なタンパク質を制限した食事を与えます。尿酸塩尿路結石症では、プリン体を多く含む食事(動物の内蔵や魚介類、エビ、豆類など)を与えないようにします。これは、痛風の人が摂取を制限される食品と共通しています。

一覧に戻る